尿検査の前のオナニー(射精)問題。いつまでならセーフ?
PR 投稿日: 2022年10月20日
こんにちは。私は医療従事者として働いている者です。
実は、医療の現場では健康診断の前にオナニーをしてしまって検査結果に引っかかってしまった人って結構いるんです。
一体何の検査で引っかかってしまうかと言うと、それは「尿検査」です。尿検査前に射精しちゃいけないって皆さん知っていましたか?
女性が生理中に尿検査が出来ないように、男性も射精後に尿検査は出来ません。
厳密には出来るけど検査に引っかかります。
同様に、女性は尿検査前の中出しセックスも検査に引っかかっしまいます。
問題は、先生に健康診断前日にオナニーをしたことや中出しセックスをしたことがバレて気まずいというだけではありません。
正確な検査結果が出ないと、実は裏に大きな病気が潜んでいたとしても見抜けません。
健康診断は病気が進行してしまう前におかしいところはないか調べて、病気を未然に防ぐためにあります。
そのためには、検査前にオナニーをしてはいけない理由と、いつまでだったらしてもいいのかを知っておくことが大切です。
尿検査前のオナニーで引っかかる理由
まずは、なぜオナニーしたことがバレてしまうのかということです。その理由は男性陣の「精液」にあります。
精液は、液体成分の「精漿」と細胞成分の「精子」とで構成されていて、精液の80%は実は水分。そのほかでタンパク質やアミノ酸、果糖、ブドウ糖、亜鉛、カルシウム、ビタミンCなどの栄養素が含まれています。
これらの栄養素が尿に検出され、検査で反応してしまうことが原因です。
男性器は、おしっこが通る道と精液が通る道が合流しているつくりをしているので、放尿時も射精時も同じ尿道口から放出されます。
そのため、射精した後のおしっこには精液が含まれてしまいます。
そもそも尿検査は何を調べるもの?
そもそも尿検査は何のためにするものだと思いますか?
ザックリ言うと、腎臓や肝臓の機能が正常に働いているかどうかを調べるためです。
各項目別に異常値がみられた場合、どのような病気が疑われるかをご紹介します。
尿比重
おしっこの濃度のことです。
水分量が多い場合は低比重、逆に水分量が少ない場合は高比重のおしっこということになります。
低比重の場合は、尿崩症または腎機能が低下していることが疑われます。
高比重の場合は、高熱や糖尿病が疑われます。
もちろんおしっこの水分量のことなので、直前にどのくらい水分を飲んだかで結果は変化します。
尿潜血
おしっこに血液が混ざっていないかを調べます。
血液が検出されると、感染症や腎結石、淋病、膀胱炎、腎炎、前立腺炎などが疑われます。
ただし、女性の場合は生理中でも陽性になります。
また、激しい運動や疲労によって赤血球が破壊された場合は血尿として陽性反応がみられます。
尿糖
おしっこに糖が出ていないかを調べます。
通常、健康な人のおしっこには糖はほとんど含まれていません。それは腎臓がおしっことして排泄される前に糖を回収をしているからです。
しかし、血中の糖の濃度が高い人は腎臓が糖を回収しきれず、大量の糖がおしっこに含まれた状態になってしまいます。
尿糖が検出された場合は、糖尿病や腎臓の尿細管の機能障害などが疑われます。
ケトン体
ケトン体とは脂肪細胞から作られる予備エネルギーです。
体に糖が足りない場合や飢餓の危機に陥った場合、脂肪をエネルギーにするために肝臓でたくさん生産されます。
生産量が増えるとおしっこへの排泄量が増えるため、陽性反応が出ます。
糖尿病患者はインスリンが上手く作用されないため、糖をエネルギーに変えられなくなっています。そのため、陽性反応がみられます。
PH
人間の血液は弱アルカリ性をしています。私たちの体が正常に機能するためには、この弱アルカリ性であることが必要になります。
体の中で栄養素を分解したり、ストレスに晒されると体から酸性物質が生まれ、体は少しずつ弱アルカリ性から酸性寄りに傾いてしまいます。
なので、体は常に弱アルカリ性を保つために体の中で生まれた酸を体の外に捨てようとします。
捨てる方法は呼吸(呼気)、便、尿です。このため、通常のおしっこは弱酸性になっています。
強酸尿の場合、強い疲労や代謝性アシドーシス、呼吸性アシドーシスが考えられます。
アルカリ尿の場合は呼吸性アルカローシス、代謝性アルカローシス、尿路感染症などが疑われます。
尿タンパク
おしっこにタンパク質が含まれている状態です。
激しい運動などで一時的に検出されることもあります。
陽性の場合、ネフローゼ症候群、腎炎、結石、骨髄腫、関節リウマチなどが疑われます。
おしっこに精液が混ざっている場合、この項目に引っかかってしまうことが多いです。
ビリルビン
ビリルビンとは赤血球が肝臓で破壊されてできる物質のことです。
赤血球は寿命(120日)を迎えると肝臓や脾臓で破壊され、ビリルビンという色素になった後、最終的に胆汁となって便と一緒に排泄されます。
うんちの色を付けているのはこのビリルビンです。通常は便として排泄されますが、この胆汁を通る経路が閉塞してしまうと、ビリルビンが逆流を起こして血液に混入し、尿中に排泄されます。
そのため、おしっこにビリルビンが検出されると胆道閉塞や胆管閉塞が疑われます。
ウロビリノーゲン
ウロビリノーゲンとはビリルビンが腸内細菌によって分解されたものです。
ほとんどが便と一緒に排泄されますが、健康な人でもわずかながらおしっこと一緒に排泄されます。
肝臓や胆のう系の疾患になると、ウロビリノーゲンがおしっこに多く出て来ます。
逆に少なすぎた場合は、胆道閉塞や結石、腸内細菌の減少が疑われます。
尿沈渣
尿潜血や尿タンパクが陽性になった場合、より詳しく成分を調べるために、おしっこの中の赤血球や白血球、結晶、細胞を顕微鏡で観察します。
赤血球が多い場合は腎臓の疾患が疑われ、白血球が多い場合は感染症により炎症が起きている可能性があり、結晶成分が多い場合は急性肝炎や黄疸が疑われます。
健康診断前のいつまでオナニーやセックスしていいの?
健康診断の前日や当日の朝のオナニーは尿検査の結果に影響を及ぼすため、正確な検査結果が得られません。
なので前日からのオナニーは控えたいところですが、厳密に「何時間前までセーフ」というのはありません。
男性は、射精した後も出しきれなかった精液が尿道内に残っています。その残りは、のちに尿と混ざり合って放出されます。
なので、何時間前であろうと精液が尿道内に残っていれば、尿検査に引っかかる可能性があります。
つまり、尿検査前までにオナニーやセックスした後の残留精子たちを全ておしっこと一緒に出してしまえばいいということです。
とはいえ、健康診断は前日までの食事や睡眠、運動量が検査結果に関係してくるため、控えられるのであれば控えたほうがいいです。
射精後の尿検査をスルーするポイント
さて、ダメだと分かっていても性欲は3大欲求の1つ。
検査前日の夜や当日の朝勃ちなどでどうしてもガマンが出来なかったアナタへ、再検査を回避させるポイントをご紹介します。
検査前までにおしっこをする
射精後から尿検査までの間に出来るだけ水分を摂っておしっこをしましょう。
おしっこの回数が多いほど、残留している精液も一緒に排出されるので安全です。
ただし、健康診断の検査項目によっては、当日の水分量の規制もあるので、おしっこをし過ぎて検査の時に出ないということがないようにしましょう。
中間尿を採取する
いざ検尿!検尿前におしっこも済ませたし、大丈夫だと思うけど、でもやっぱり心配…。そんな時は中間尿を提出しましょう。
おしっこを出し始めて1~2秒後に出ているものを採取出来れば成功です。
これは精液の混在対策だけではなく、実はみなさんに共通して言えます。
なぜなら、出始めのおしっこには不純物が混ざりやすいからです。健康診断でも実際のところ、中間尿の採取が推奨されています。
射精さえしなければいい?
射精するから検査のことを気にしないといけないのであって、「じゃあ射精しなければいいんじゃないの?」と思う人もいるでしょう。
これに関してはグレーゾーンなお話し。射精をしなければ確かにおしっこに精液が混入することはないので安全かと思いますが、ちょっと思い返してみてください。
男性のみなさんは性的興奮をしてから射精をするまでの間に、ある分泌液が出ていますよね。そう、「我慢汁」です。
正式にはカウパー腺液、尿道球腺液と呼ばれるものですが、これには精子は含まれていません。なので我慢汁までならセーフだと思ってしまうと思います。
では、我慢汁がどんなものなのか見ていきましょう。
我慢汁とは?
我慢汁とは性的興奮によって尿道を通って排出される無色透明、弱アルカリ性の分泌液です。
その役割とは精子を生きたまま卵子に届けることです。
また、粘性による性交時の摩擦軽減も担っています。
この我慢汁自体には精子は含まれていないので、理論的には検査で引っかかることはありません。
ですが、我慢汁が出るのは射精が近いサイン。この時、精液は尿道の方へと少しずつ進んでいます。そのため、射精をしていないのに我慢汁と一緒に精液が出てしまうことがあるのです。
射精は自分でコントロールできますが、我慢汁はコントロールがききません。
ですので、寸止めオナニーであろうと完全に安全というわけではないのでご注意を。
出来るならば性欲が湧かないように気持ちを落ち着かせたり、気を紛らわせて乗り切って下さい。
女性はオナニーしてもいい?
女性の場合、尿検査の前日や当日にオナニーをしても全く問題はありません。
ただし、膣壁を傷付けるような行為によって出血を伴ってしまうと、尿検査の尿潜血の項目に引っかかってしまいます。
女性は膣と尿道は別々に存在していますが、距離が近いのでおりものを通じておしっこに混入してしまうことがあります。
激しいオナニーやセックスは控えた方がいいでしょう。
また、セックスの場合は精子混入を避けるために必ずコンドームを使用しましょう。これは精子混入だけでなく、感染症予防としても大切です。
検査当日ですが、膣の周辺はおりものカスが付いていたり、細菌が繁殖しやすい部位です。
なので、尿を採る際には始めにウォシュレットなどで洗っておくとより良いでょう。
まとめ
健康診断とは、とくに病気や異常があるとは思っていない人の健康状態や、気づかずにいる疾病の有無を調べるために行う診察や検査を言います。
健康を維持するためには早期発見、早期治療が大切だと考えられており、尿検査は主に腎臓や肝臓や泌尿器が正常に働いているかどうかを調べるものです。
病気になってしまう前に未然に防ぐためには、正確な検査結果が必要になります。前日や当日の射精は検査結果に影響を及ぼすため、可能であれば控えて頂きたいところです。
正しい検査結果を得るためには、前日は激しい運動などは控え、気持ちを落ち着かせて早めの就寝をとることが大切です。
もしも射精をした場合は、検査前までに出来るだけおしっこをして尿道に残っている精液を出しきるよう努力をしましょう。
そして、採尿時は中間尿を採るようにして下さいね。