
幸せなはずなのになぜ?マリッジブルーの原因と対応
更新日: 2018年10月27日
結婚が決まって、幸せでいっぱいだったはずなのに、なんとなく心が重い。元気がでない。くよくよと心配ばかりが思い浮かぶ。時には家族や婚約者にあたってしまう。あるいは結婚したばかりなのに、幸せな気分になれない。このようなマリッジブルーの症状に襲われることは特に女性の場合珍しくありません。
うれしいはずの時期なのになぜこのようなことが起きるのか、そしてどう対処したらいいのか解説します。
生活の変化にたいする不安
結婚をすると、新しく家を借りたり、場合によっては購入することもあります。引っ越し、というのはそれだけでも大きなストレスとなります。
知らない場所で生活すること自体が人間にとっては心身の負担になるといえます。特に、ずっと実家で生活してきて引越しの経験がない、という人の場合、かなり大きな負担となってもおかしくありません。
また、特に女性の場合、1人で2人分の家事について責任を持たなくてはいけない、と思い込みがちです。
最近は男女ともに仕事を持っており、家事の分担は当たり前のこととなりつつありますが、それでもなんとなく責任者は自分だ、という意識があるのかもしれません。
それまでは、多少食事の内容が手抜きでも、掃除が行き届いていなくても、それは自分が我慢すればいいだけの問題でした。しかし、これからは愛する人の分まできちんとやらなくてはいけない、と思い込んでしまうのです。
さらに、一緒に生活すると、自分のすべてをさらけださなくてはいけない、という心配もあります。
いつもデートの時はきちんとお化粧をして、服装にも気を遣っていたのに、家の中ではすっぴんをさらすことになります。あるいは、いつも朝から晩まできちんときれいでいなければいけないような気持になりがちです。
ずっと気を抜けないのではないか、という気持ちが起こって憂鬱になるのは、相手を好きだからこそ、ともいえます。
準備の大変さによる疲れ
マリッジブルーのもう一つの大きな原因は準備の大変さです。
人によって異なりますが、結婚の際は様々な準備が必要です。多くの人が引っ越しをしますが、それだけでも大仕事です。
家を探し、荷物をまとめ、引越し業者を決め、必要な家具を購入するというだけでも、体調を崩す人はいます。
また、結婚のためには婚姻届けを出す以外に、職場や銀行、免許証など、転居届と姓が変わった場合はその届け出も必要です。
結婚式や披露宴をする場合は(最近は簡素にする人も増えてきましたが)、その準備といえば膨大なものです。
式場を決め、衣装を決め、食事の内容や招待客を決め、挨拶をお願いし、引き出物を準備しとかなり忙しくなります。
仕事をしながら合間にこのような手配を行うとしたら、休日や夜に行うしかありません。ゆっくり休む暇がなく、疲れがたまってしまっても仕方がありません。
結婚式の準備は本当に楽しいものですが、楽しいと思われている分、人に「大変だ」とは言いにくいものです。特に結婚相手にそのようなことを言うと「結婚を嫌がっているのか?」と思われそうで、愚痴はこぼしにくいものなのです。
相手に対する気持ち
結婚は一生のことなので、「この人と結婚したい」と思って心を決めても、不安が生じるのは当たり前のことです。
本当にこの人と一生暮らしていけるのだろうか、途中でけんかをするのではないか、生活は成り立っていくのかなど、様々な不安があります。
また、結婚を決めたとたんに、安心感が生じてしまい、相手の前で取り繕う必要がなくなって本音がでるようになる、というケースもあります。
本音を言い合えるのはいいことなのですが、それが相手を軽んじたりする印象になると問題が起こります。
人は恋人の前では多少は自分をよく見せたいものですから、「こんな人だったのか」というイメージのずれがあるのは、当然のことなのですが、それがあまりにも大きいと「大丈夫なんだろうか」という気持ちになり、憂鬱につながることになるのです。
人間関係の変化
結婚は男女一人ずつの組み合わせであるのは当然のことですが、そのそれぞれに家族や友人、職場の知人などの人間関係がくっついているものです。
結婚することになると、家族や友人を紹介してもらい、お付き合いが始まることがよくあります。特に夫の実家、妻の実家とのお付き合いについては、結婚前から問題が生じることも多いのです。
自分の家族として受け入れていこう、という意識が、逆に束縛を感じさせることもあります。結婚する前から「おしゅうとめさんとうまくやっていけそうにない」といった気持ちになると憂鬱になるのも当たり前と言えるでしょう。
マリッジブルーになったらどうすべきか
結婚を目前にしたら誰でも楽しい、という先入観があると、マリッジブルーになった時、「こんなはずじゃなかった」と自分を責める気持ちが起こってきます。しかし、結婚にストレスがあるのはあたりまえと考えましょう。
これほど、忙しく、人生を大きく変化させる時期は一生のうちでそう多くありません。次に大きく変化するのは子供が生まれた時と配偶者が亡くなった時でしょう。結婚によって生ずるストレスはそれほど大きいのだと心得ることが大切です。
完璧な結婚生活、というのはありえません。最初は家事の分担がうまくいかなかったり、みっともないところを見せてしまって恥ずかしいと思うこともあるでしょう。
しかし、そういう細かい失敗を積み重ねながらだんだんと二人の生活を素敵にしていくのが結婚生活です。完全主義は捨てる、というのがしあわせになるコツといえます。急に変化しなくても大丈夫、と自分に言い聞かせることです。
また、新生活の準備や、結婚式の準備については、相手と話し合って、一方にだけ負担がかからないように上手に分担しましょう。場合によっては、手を抜くことも大事です。
結婚式場のスタッフをできるだけ頼って、何もかも自分でやろうとしないようにしましょう。
相手との関係についても、完璧さを求めるとつらくなりがちです。みっともない部分や至らない部分があるのは相手も同じです。けんかをしても、仲直りする、ということは多くの夫婦が何度も乗り越えてきたこと。甘いだけではないのは当然です。
しかし、嫌なことばかり想像して落ち込むのも問題があります。何より、二人で楽しい生活を送ろう、という気持ちがあるから結婚をするのですから、どうやって楽しさを作っていくのか(相手に一方的に楽しさを与えてもらうのではありません)を色々と思い浮かべてみましょう。
ただ、結婚が決まったとたんに、あまりにも邪険に扱われるようになった、暴力がでるようになった、金銭的な問題が露見したといった場合は慎重に考えることも必要です。
マリッジブルーになった人を見つけたら
結婚相手や結婚を前にした友人がマリッジブルーになっているときはどうしたらよいでしょうか。
まずは、原因となっていそうな部分についてよく話を聞いてあげましょう。疲れや不安がたまっていないか、細かく状況を聞くことが大切です。
落ち込みや愚痴に対して、「そんなの気のせいだよ」「結婚して幸せになるんでしょ?」などと否定的な言葉をかけるのは禁物です。
マリッジブルーの場合、本人も「こんなはずじゃなかった」と思っていることがほとんどですから、否定されると自分を責めてしまいがちです。
マリッジブルーになった人が結婚相手である場合は、忙しい部分についてできるだけ手伝ってあげることが必要です。
物理的な忙しさは、人を疲れさせるだけでなく、精神的に追い詰めることがあります。多少忙しくても、二人でやっているのだ、という意識があれば、不安や憂鬱につながりにくいといえます。
また、本人が「眠れない」「悲しくなる」「なにもやる気がでない」といったことを訴える場合は「うつ」を疑うことも必要です。
人はだれでも強いストレスにさらされるとうつになってしまう可能性があります。
ストレスとは「圧力」であって、「つらいこと」とは限りません。結婚もまたストレスの一つであることを知りましょう。
おかしいな、と思ったら、受診をすすめたり、場合によっては思い切って結婚を延期したり、式を簡素なものにするなど負担を軽減することが必要です。(ただし、本人の納得が必要です。)
結婚生活に慣れたら、ストレスは減ってくるもの。式などはいつでもできると割り切ることも必要です。