
マズローに見る恋愛心理学【恋愛に大事なこととは何か?】
更新日: 2018年10月27日
貴方は知らず知らずのうちに自分の欲求を相手に押し付けてはいないでしょうか。相手が何を求めているかをきちんと考えたことはあるでしょうか。
人間は欲求の動物。誰しも様々な欲求を抱いて生活しています。いろいろな欲求を持った人間のコミュニケーション、特に恋愛関係が上手くいくにはどうしたらいいのでしょうか。
人間性心理学の生みの親であるアブラハム・マズローの学説を基にして、恋愛が上手くいくにはどうしたらいいのかを考えてみたいと思います。
人間の欲求5段階説
恋愛に限らず、人間は様々な欲求を抱きながら生きています。その欲求が満たされない時、人は不安を感じたり、ストレスを溜めてしまうのです。
恋愛も人間関係。不安やストレスが生じることは避けられません。しかしそれらのネガティブな要素をなるべく減らし、相手の欲求を満たし、安心させてあげることが恋愛成就の近道とは言えないでしょうか。
アメリカの有名な心理学者にアブラハム・マズローという人がいます。人間性心理学の生みの親とも言われる人で、人間がどうしたら自己実現できるのかということを研究しました。彼が主張した有名な学説が、人間の5段階欲求説です。
彼の主張した5段階欲求は、ピラミッドのように5段階で分かれていて、低い段階の欲求が満たされると、一つ上の段階の欲求が生じるようになっています。
第1階層:生理的欲求と恋愛心理
マズローの5段階欲求説によると、一番低い段階の欲求は、生きるための生理的な欲求です。ものを食べたり、飲んだり、睡眠をとったり、排泄をしたり。人間誰しもがしなければ生きていけない行動に対する欲求です。
言うまでもないことですが、この欲求を妨げてしまう人は、恋愛を成就させることはできません。
相手のお腹が空いたり、のどが渇いているのに、デートに舞い上がってしまったり、相手が眠そうにしているのに夜遅くまで電話やラインをしたり、お手洗いに行くタイミングを作ってあげなかったりという行動は、人間のもっとも基本的な欲求を妨げてしまうので、まずモテることはないでしょう。
しかしながら、ある意味ではどんな人にも当てはまる普遍的な欲求とも言えるので、相手の生理的欲求を気遣い、満たしてあげることは相手の性格に関わらず、使える恋愛のテクニックと言えるでしょう。
ただし、あまりにも基礎的な欲求なので、大きな声で恩着せがましく言うものではありません。あくまでもさりげなく気遣うことが大事です。
第2階層:安全欲求と恋愛心理
二番目に低い段階の欲求は、安全欲求です。生理的な欲求が満たされた人は、身の危険を回避したり、安全な場所で安心して過ごしたいという欲求が出てきます。
恋愛においてまず大事なことは、相手に身の危険を感じさせないことです。誘い方があまりにも強引だったり、下心が見え見えだったりすると、多くの場合相手は身の危険を感じますね。最初は相手を安心させるコミュニケーションを心がけ、相手が自分に対し安心してくれたと判断した上で、次の段階に進むことが大事です。
誘い方や話し方だけではなく、デートの場所も安全な場所を選ぶことが大事です。
繁華街や山奥などの危険を感じるような場所だったり、気候が悪いのに外にデートを続けたりすると、それだけで相手は参ってしまいます。まず最初は相手を安心させるコミュニケーションと場所選びを心がけましょう。
第3階層:社会的欲求と恋愛心理
3番目の階層は社会的欲求です。これは帰属欲求とも呼ばれ、集団に所属したり、友達が欲しくなるなど、コミュニティに属したいという欲求になります。
一匹狼という言葉がありますが、人は結局のところ、他人と関わらなければ生きていけません。多くの人は孤独感に耐えることができないのです。
社会的欲求と恋愛の関係性において大事なことは、相手の社会的欲求を妨げないことです。カップルは一つのコミュニティに属した状態と言えるでしょうが、人は複数のコミュニティに所属しているのが普通です。
学校や会社、地元の友達や家族などいくつかのコミュニティに属して生活しているのが人間なのです。
それぞれのコミュニティの重要度・依存度には差があるのは当然のことで、いきなりカップルというコミュニティが一番重要と考え、相手に押し付けるのは危険と言えるでしょう。
相手によっては家族や友達との付き合いがより重要で、楽しいと考える人もいるでしょう。ですので相手がコミュニティに所属して満たしている社会的欲求をいきなり妨げるようなことはしてはいけません。
相手が属するコミュニティを尊重しながら、だんだんと恋人というコミュニティの重要度を高めていけばいいのです。
第4階層:尊厳欲求と恋愛心理
4番目(上から2番目)の階層は、尊厳欲求と呼ばれています。これは他の人から認められたい、評価されたい、尊敬されたいなどと思う欲求です。
SNSなどを見ていると、現代人の多くはこの欲求を満たしたいと考えているのかもしれません。他人が羨むようなことがしたい、物がほしい、地位が欲しいなど、多くの人が思っているのがネットでは伺えるのです。
恋愛に当てはめると、まず高望みというものがあります。出会いを求める時に、自分の尊厳欲求を満たすために相手を選ぶと失敗しやすいのです。なぜなら、相手が本当に自分の尊厳欲求を満たしてくれるかは未知数で、もしその期待が裏切られた時、お互いに不幸な結末になることは必至です。
相手のルックスや年収など、他人の目を気にして相手を選ぶのは止めた方がいいかもしれません。恋愛は他人に見せびらかすものではなく、二人で楽しむものです。他人がどう思うかを気にする必要はないのです。
いざカップルになった時、相手の尊厳欲求を満たす努力をしてあげるのも大事なことです。相手の仕事や趣味に理解を示して上げたり、服装や髪型を褒めてあげたり、お互いが自分の尊厳欲求を満たすためではなく、満たしてあげるために行動すれば、カップルというコミュニティは自ずと一番大事なコミュニティになっていくことでしょう。
もちろん、相手の考えていることを全て理解できることはありえませんが、少なくとも相手が何を大事に思い、何を欲しているのか考えることはできます。
最も大事なことは相手の気持ちを考えることです。例え少しの誤解があろうとも、自分の欲求ではなく、相手の気持ちを最初に考える人は、長続きすることでしょう。
第5階層:自己実現欲求と恋愛心理
欲求の最終段階、自己実現欲求は、自分の能力や可能性を発揮して、自分のなりたいものになるという創造的な欲求です。この段階に達した人は、他人の目を気にしたり、嫉妬をしたりすることがなく、自分の能力を最大限に発揮することだけを望みます。
恋愛においては、二人の関係が他の外的要因に脅かされることなく、お互いを認め合った関係といえるでしょう。
そんなふうになれるカップルはそうそういないと思いますが、恋愛の最終目標は、他人の羨望や財産などではなく、お互いを心から尊重し合える関係でありたいという、一つの理想像として考えてみたらいいのかもしれません。
まとめ
以上、マズローの欲求5段階説をベースに恋愛心理について説明しました。
勿論、この説だけで人間の全てを説明できるわけではありませんし、全てが恋愛関係に適用できるわけでもありません。
しかし説明される欲求は、多くの現代人が当てはまるものでもあります。これから恋人を作りたいと考えている方、恋人が出来たばっかりで右も左もわからない方、うまくいっていないカップル、これから結婚などを考えているカップルなど、様々な状況の人に当てはまる可能性があるのが、心理学の良いところです。
学説を鵜呑みにするのは危険ですが、ふと恋愛について疑問や問題が生じた時、チェックリスト代わりにアブラハム・マズローの名を思い出してみると、意外にも役立つことがあるかもしれません。
最も大事なことは、相手の欲求をできるだけ妨げることなく、満たしてあげること、相手が何を欲しているのか考えることです。
相手のことを想った結果、自分の欲求も満たされることになれば、それほど良い恋愛関係はないでしょう。