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縮毛矯正の教科書【矯正者だけじゃなく!美容師もやり方やコツを学ぼう】

縮毛矯正のために髪質をチェックする美容師

縮毛矯正はクセ毛を解消できる非常に有用な技術です。しかし、しっかりとした知識がなければとても危険性の高い技術でもあります。

この記事は技術を担当する理容師や美容師だけでなく、技術を受ける利用者側にも読んでいただけるように書いてあります。

縮毛矯正というものを知る初歩のテキストとして活用していただけるように教科書調で構成しています。 縮毛矯正を知ってください。

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1.縮毛矯正とは

皆さんはクセ毛で悩んでいたりしていませんか。
実は日本人のほとんどが大なり小なりクセ毛を持っています。

そして、多くの人がその処理に頭を悩ませているのです。
クセ毛があるからなりたいヘアスタイルができない、クセ毛のせいで湿度の高い日は髪の毛が膨らんだようになる、クセ毛のせいで思い通りにスタイリングができない等々、誰しもが経験をお持ちだと思います。
そのクセ毛に対して有効な解決策の代表が縮毛矯正の技術なのです。

今でこそ理容室や美容室で当たり前のように行われている縮毛矯正ですが、技術が確立したのは約30年くらい前といわれています。

縮毛矯正の原理は基本的にはパーマネントウェーブ、いわゆるパーマの応用でできています。

まずはアルカリ剤と還元剤を含んだ1剤で毛髪を軟化させ、毛髪中のたんぱく質をやわらかくします。

次に、1剤の力で十分にやわらかくなった毛髪をストレートアイロンと呼ばれる平小手のアイロンで適度に熱を入れてまっすぐな毛髪の状態にします。

そして、まっすぐになった毛髪に酸化剤を含んだ2剤を塗布することで毛髪内部のたんぱく質が固定されてクセのないストレートヘアが出来上がります。

これが、縮毛矯正の原理です。

パーマは1剤で軟化した毛髪を円柱状のロッドに巻きつけてクセをつけ、2剤でそのクセを固定する技術ですが、縮毛矯正はパーマとは反対のクセのない状態を毛髪につける技術なのです。
これから、縮毛矯正に関する技術や理屈、注意点を解説していきたいと思います。

2.縮毛矯正とストレートパーマの違い

ところで、縮毛矯正とストレートパーマの違いはご存知でしょうか。
一見すると同じように見えて、実際に同じように話している理美容師の方もいらっしゃいますが、実際には違うんです。

先ほども書きましたが縮毛矯正というのは、健康毛の状態でウェーブやカールのある毛髪(専門的には波状毛や捻転毛などど言います)を薬剤の力でほぐして必要に応じてアイロンで伸ばす技術のことをいいます。

これに対してストレートパーマとは、先にかけたパーマをなんらかの理由でとらなければいけなくなった時に行うパーマ戻しの作業のことを言います。

薬剤を塗布してアイロンで伸ばすのを縮毛矯正、薬剤を塗布してアイロンを使わずに伸ばすのをストレートパーマとしている方もいらっしゃるようですが基本的には天然パーマを薬剤で伸ばす技術を縮毛矯正といい、それ以外の技術をストレートパーマといいます。

クセ毛をまっすぐにしたいのであれば、ヘアサロンに行って縮毛矯正をお願いするのが確実でしょう。

3.縮毛矯正を始める前に

それでは、実際に縮毛矯正を行うときにどんなことが行われるのか、その際に毛髪にどんな化学的変化が起こっているのかを解説していきます。

まずは1剤を塗布する前に行うカウンセリングからです。縮毛矯正を行う際には、まず施術前にしっかりとしたカウンセリングを行うのが基本です。

カウンセリングは聞き取り、手触り、目視が主なカウンセリング手段となります。

はじめに聞き取りを行い、現在の毛髪にどんな施術をしてきたのかを確認します。
聞き取る項目は
「過去に縮毛矯正をかけたことがあるかどうか」
「かけたことがあればどのくらいの間隔で縮毛矯正をかけていたか」
「カラーをしていればカラーの施術をどれくらいの間隔で染めていたか」
などを聞き取ります。

次に毛髪を触って毛髪表面の状態、毛髪の太さや硬さ、クセの状態を触診で確かめます。また、毛髪を丸めてみたり細めの棒などに巻きつけてから手を離すことで毛髪の戻りを確認できます。
毛髪が乾いている時と濡れている時の両方の状態を触っておくことも大事です。

最後に、目視で毛髪の状態をチェックします。
乾いている時の毛髪のツヤを見てキューティクルの状態をチェックします。
更に、毛髪を濡らしてみて吸水する早さ、ドライヤーで乾かしてみて乾く早さも確認します。

カウンセリングでは以上のような点を中心に見ていきます。このカウンセリングの目的は毛髪に蓄積されたダメージを可能な限り知ることにあります。

というのも、毛髪のダメージを管理するのはヘアスタイルにとって非常に重要だからなのです。

そもそも毛髪は角化細胞の変化したものであり、成長したり回復したりすることのない死滅細胞です。

つまり、毛髪は一度ダメージを受けると修復することがありません。

ダメージを受け続けてライフがゼロになった毛髪はどうなるかというと、ライフがゼロになったところからちぎれてしまいます。
これを断毛といい、カラーやパーマ、紫外線や塩分などのダメージによって引き起こされるものなのです。

縮毛矯正は理美容で行われる数々の技術の中でもっとも毛髪にダメージを与える危険性のある技術のひとつなのです。

施術管理やしっかりとした技術でダメージの軽減をすることはできますが、まったくダメージをゼロにするということは現時点では不可能であるといっていいでしょう。

そのために、縮毛矯正を行う際にはしっかりとした調査を行い、毛髪のライフがゼロにならないように毛髪の状態をしっかりと把握する必要があります。

縮毛矯正を行う人はそのことを念頭において毛髪のダメージを把握しやすくするカウンセリングを心がけ、縮毛矯正をしてもらう人は自分の髪にどれだけのことをしたかを自分が覚えている限り全部伝えて自分の毛髪のダメージを把握する手伝いをするように心がける必要があるといえます。

たとえば、過去に2回縮毛矯正をかけたことがあるとします。
この場合は毛髪の長さのうち少なくとも3箇所ダメージの蓄積が違う部分があります。

一番ダメージが少ないのが毛髪の根元から前回縮毛矯正をかけた手前の部分です。
次にダメージが少ないのが前回縮毛矯正をかけた中間の部分です。
その前に縮毛矯正をかけた部分は一番ダメージを負っていると考えられます。

同じ1本の毛髪であっても、このようにダメージの蓄積具合が違うのであればこの先の施術でダメージのある部分とそうでない部分の管理をする必要があります。
この施術管理の参考にするのがカウンセリングによって確認した毛髪のデータなのです。

4.縮毛矯正における薬剤の大切さ

では、実際に薬剤を塗布したときの毛髪の状態を見ていきましょう。

縮毛矯正に限らず、2剤式パーマ剤の1剤の役割というのは毛髪内部のたんぱく質の結びつきを切断するというものです。

人間の毛髪は大きく4つのたんぱく質の結びつきによって構成されています。
その結びつきとは水素結合、イオン結合、シスチン結合、ペプチド結合の4つです。
このうち、パーマや縮毛矯正のために切断する結合はシスチン結合です。

シスチン結合が切断された毛髪は内部のたんぱく質が流動化し、毛髪全体が柔らかい状態になります。
この状態のことを軟化といい、この軟化状態をしっかり作りだすことが縮毛矯正の技術において非常に重要となります。

シスチン結合をしっかり切ってたんぱく質同士の結びつきをはずし、ロッドに巻いたりアイロンでまっすぐに伸ばしたりして形を整えたうえで2剤を塗布して、切れたシスチン結合を再結合すると整えた形で毛髪が固定されるのです。

2剤には過酸化水素などの酸化剤が含まれており、切れたシスチン結合は酸化剤の力によりその場所で再びシスチン結合となるのです。
これが毛髪にパーマがかかったり、縮毛矯正によってクセのある毛髪がまっすぐになる原理になるのです。

5.1剤で処理された毛髪の状態はどのようにして確認しているのか

それでは、1剤を塗布されてシスチン結合が切れた毛髪はいったいどのような状態になっているのでしょうか。

毛髪が軟化している状態を確認する方法を見ていくことにします。

毛髪が軟化している状態は触って確認するのがもっとも重要です。
というのは、軟化というからには当然ですが毛髪はやわらかくなっています。
このやわらかさ度合いを見極めることが縮毛矯正を成功させるカギといってもいいでしょう。

もしもやわらかさが足りなければ毛髪のクセが元に戻ってしまいますし、やわらかくさせすぎてしまうとダメージが増えすぎてしまいます。

特に、やわらかくさせすぎた過軟化の状態はかなり危険な状態といえます。

過軟化状態の毛髪は取扱いが非常に難しく、その後のアイロン操作を誤ると通称ビビリと呼ばれる状態を作り出してしまいます。
このビビリは毛髪のダメージに起因するものなので基本的には治すことができません。

ビビリにならない程度に軟化させるにはこまめなチェックが大事です。
まずは毛髪を一本つまんで引き出し、毛先と毛髪の中心くらいを両手で持って引っ張ります。
この時の力のかけ具合で軟化状態をチェックすることができます。
少し力をかけて毛髪が伸びるくらいがいい軟化具合と言われています。

力をかけずに引っ張ってゴムのように伸びた場合は過軟化の可能性が高いです。

また、細めの棒に毛髪を巻きつけてその戻りを見ることでも軟化度合いがチェックできます。

カウンセリングの時に巻きつけて戻りを見た場合、軟化プロセスで戻り具合が半分くらいになっていたらいい軟化具合と言われています。
このように毛髪をいじってみることで1剤の作用具合が分かります。
このチェックは必ず行われる必要があると言っていいでしょう。

6.縮毛矯正のアイロンにおけるプロセス

1剤を塗布して毛髪を適正に軟化させたら、次はアイロンによる伸ばし操作になります。
基本は付いている1剤をキレイに洗い流して毛髪をしっかりと乾かした上でアイロン操作を行います。
ここでは、毛髪をしっかりと乾かすことが重要となります。

毛髪をしっかりと乾かさないとアイロンに触れた水分が水蒸気となり頭皮にやけどを負わせる危険が発生します。

また、水蒸気が毛髪のたんぱく変性を引き起こしやすくなりますので毛髪のダメージを増やすことにもつながります。

毛髪のたんぱく変性とは毛髪内部のたんぱく質が熱により固まってしまうことをいいます。
たとえば、生卵の状態が健康な毛髪の状態であり、たんぱく変性した毛髪はゆで卵や目玉焼きのように卵が固まった状態になるのです。

毛髪のたんぱく変性は180度の熱に2秒間触れることで起こるといわれています。
固まってしまった毛髪は硬くゴワゴワとした手触りになり、強度ももろくなってしまいます。
最悪の場合は断毛してしまう恐れがあります。

また、カラーリングをしても毛髪が染まらないといった状態にもなります。

熱による毛髪のたんぱく変性を避けるためにも、アイロン操作を行う前には髪をしっかりと乾かしておく必要があります。

そして、アイロン操作においてもたんぱく変性を避けるための注意が必要となってきます。

矯正を行う際のアイロンは温度を150度くらいにして行うのが基本となります。
ダメージが多いと思われる箇所には120度から130度くらいに温度を下げてアイロンをあてます。

アイロンは1箇所に留めることはせずに毛髪の表面を滑らせるようにします。

イメージとしてはアイロンでプレスして毛髪の形を整えるという感じではなく、毛髪表面でアイロンを滑らせることで表面のキューティクルを整える感じでアイロンを動かしていきます。
ということは、必然的に使用するアイロンには細かく温度調節ができる機能が求められます。

理容師や美容師さんが使うアイロンは当然ですが、一般の方が使うときにも細かい温度調節ができるアイロンを選んでもらうのが毛髪のためには望ましいことといえるでしょう。

7.後処理で大事なところは

アイロン操作まで終われば縮毛矯正の作業は9割終わったも同然です。
しかし、まだ髪のためにすべきことはいろいろあります。

このあとは、毛髪に残留したアルカリを中和する作業を行い、2剤を塗布してシスチン結合の再結合を行います。

中和作業を行わないと毛髪内部にアルカリ成分が残留することになります。

残留したアルカリ成分は毛髪内部でダメージの原因となり、毛髪のダメージを増やしていきます。
結果としてせっかくかけた矯正が元に戻ってしまったり、毛髪の手触りが悪くなったりしてしまいます。

毛髪のダメージを極力抑えるためにも中和作業は必ず行う必要があります。

そして、毛髪表面の保護をするトリートメントの作業を行います。

パーマやカラーなどをおこなった毛髪は痛みやすいとよく言われますが、それはパーマやカラーによって毛髪のたんぱく質が親水化するために起こる現象なのです。

もともと毛髪のたんぱく質には疎水性のたんぱく質と親水性のたんぱく質が混在しています。
それぞれのたんぱく質が混在しているのもクセ毛の原因の一つなのですが、毛髪がアルカリによりダメージを受けると疎水性のたんぱく質が親水性に変化してしまいます。

親水性のたんぱく質は水と結びつきやすく、水に触れると水といっしょに毛髪から流れ出てしまいます。
こうなってしまった毛髪は例えると米粒の足りない巻き寿司のようなもので表面も内部もスカスカになっていきます。
この状態の毛髪は水を吸収しやすくて乾きやすい状態になっています。

つまり、水の出入りが多い状態となりさらに毛髪のダメージを加速させていってしまいます。
この状態を防ぐためにはトリートメントを行う必要があります。

まずは、毛髪に空いた穴を塞ぐために擬似的に人工たんぱく質を入れて流出したたんぱく質を補います。

後に、毛髪表面をコーティングする薬剤を塗布して毛髪表面のキューティクルを強化します。
トリートメントを行って縮毛矯正の技術は完了となります。

8.矯正した毛髪はどれくらいもつのでしょうか

通常のロッドパーマの場合、でき上がったウェーブのもちというのはそう長くはありません。デザインにもよりますがロッドパーマのもちは1ヶ月か1ヵ月半といったところでしょう。

これに対して縮毛矯正のもちというものはもっと長いものです。

基本的には矯正をかけた部分はまっすぐのままなのです。

毛髪のダメージにより少しカーブが生じたりすることはありますが、もとのクセが戻るということはありません。

もしも、もとのクセと思われるところが戻ってきたとしたらそれは軟化が足りなかった証拠であり、1剤の放置時間をもう少し長くする必要があったという証拠となります。

9.縮毛矯正を知ることの大切さ

縮毛矯正について書いてきましたが、縮毛矯正がとても重要で繊細な管理を要求される技術であることがお分かりいただけたかと思います。

クセ毛の悩みというものはなくなることはなく、クセ毛を解消するための縮毛矯正はもっとより身近な技術になることでしょう。

しかし、縮毛矯正はダメージの蓄積が非常に大きな課題であり、ダメージのコントロールは髪が長くなればなるほど難しくなってきます。

毛髪のダメージコントロールは理容師や美容師といった矯正を行う側の努力だけではなく、矯正をかけてもらう利用者の側もしっかりとした知識を持って日々のケアを頑張る必要があります。

縮毛矯正をもっと知って、もっと安全に、もっとダメージを減らしてクセの悩みを解消できるようになりましょう。

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